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ぎっくり腰にコルセットは必要?正しい巻き方・位置とおすすめの選び方を解説

 
ぎっくり腰にコルセットは必要?正しい巻き方・位置とおすすめの選び方を解説

突然の激痛で動くことすらままならないぎっくり腰。少しでも楽になりたいと思ったとき、まず思い浮かぶのがコルセットかもしれません。

しかし、コルセットは正しく使わないと十分な効果が得られないだけでなく、かえって回復を遅らせてしまう可能性もあります。

この記事では、ぎっくり腰でコルセットが必要かどうかの判断基準から、正しい巻き方・位置、おすすめの選び方まで、専門的な知見をもとに詳しく解説します。急な腰痛でお困りの方は、ぜひ参考にしてください。

※本記事には、提携する企業のプロモーション情報が含まれます。

1.ぎっくり腰にコルセットは必要か?判断基準を解説

ぎっくり腰になったとき、コルセットを使うべきかどうか迷う方は少なくありません。結論から言うと、コルセットはすべてのケースで必要なわけではなく、状況に応じて使い分けることが大切です。

日本整形外科学会と日本腰痛学会が監修する「腰痛診療ガイドライン2019」によると、コルセットは腰痛患者の機能改善に有効であるとされています。ただし、腰痛の予防効果については直接的なエビデンスがないことも示されています。

まずは、コルセットが必要なケースと必要ないケースを見極めていきましょう。

コルセットが必要なケース(急性期の激痛)

コルセットが必要なケース(急性期の激痛)

ぎっくり腰でコルセットが有効なのは、主に急性期と呼ばれる発症直後の時期です。以下のような状態のときは、コルセットの使用を検討してみてください。

  • 朝起き上がるのに激しい痛みを感じる
  • 腰を少し動かすだけで鋭い痛みが走る
  • 立ち上がったり歩いたりするのが困難
  • 日常の動作(顔を洗う、靴下を履くなど)ができない
  • 発症から3日〜1週間以内である

このような急性期には、腰を動かすたびに強い痛みが生じます。コルセットで腰部を固定することで動きを制限し、痛みの誘発を防いで日常生活の動作をサポートすることができます。

コルセットが必要ないケース(慢性腰痛)

コルセットが必要ないケース(慢性腰痛)

一方、以下のようなケースでは、コルセットの効果は限定的です。

  • 発症から3カ月以上経過している慢性的な腰痛
  • 腰を動かしても激痛が走らない状態
  • 日常生活の動作はある程度できる
  • 「コルセットをしていると安心」という心理的な理由での使用

慢性腰痛に対するコルセットの効果は、科学的な根拠が十分ではないことがわかっています。腰痛診療ガイドライン2019でも、慢性腰痛に対するコルセットの推奨度は弱いものとなっています。

慢性腰痛の場合、コルセットをつけていると楽に感じるのは、身体的な効果というよりも精神的な安心感による部分が大きいと考えられています。このような場合は、少しずつコルセットを外して日常生活を送ることが推奨されます。

装着すべき期間の目安

ぎっくり腰でコルセットを使用する場合、装着期間の目安は発症から2〜3日、長くても1週間程度です。

急性腰痛は多くの場合、1〜3週間程度で自然と軽快していきます。コルセットはあくまで「痛みが強い時期に動けるようサポートする」ためのものであり、治療そのものではありません。

激烈な痛みが少し落ち着き、日常生活の動作が可能になってきたら、徐々にコルセットを外す時間を増やしていきましょう。いきなり外すのが不安な方は、仕事中だけ、外出時だけなど、使用シーンを限定してみてください。

また、腰痛診療ガイドライン2019では、急性腰痛に対しては安静よりも痛みに応じた活動性の維持のほうが、疼痛軽減と身体機能回復に有効であるとされています。コルセットを使いながらも、可能な範囲で日常生活の動作を続けることが大切です。

2.ぎっくり腰でコルセットに期待できる3つの効果

ぎっくり腰の際にコルセットを使用すると、いくつかの効果が期待できます。ただし、コルセットは腰痛を「治す」ものではなく、あくまで痛みを和らげ、動作をサポートするための補助具であることを理解しておきましょう。

骨盤・股関節の安定による腰への負担軽減

コルセットの最も大きな役割は、腰部の動きを制限することです。

ぎっくり腰になると、わずかな前かがみやひねり動作でも激痛が走ることがあります。コルセットを装着すると、骨盤や股関節が安定し、不用意な動作で痛みがひどくなるのを防ぐことができます。

特に、腰椎を外側から支えることで不安定な椎間関節や椎間板への負担が減り、痛みの原因となる刺激を軽減できます。これにより、日常生活での動作(立つ、座る、歩くなど)が少し楽になる方が多いです。

腹圧を高めて痛みを緩和

コルセットを巻くと、腹部が圧迫されて腹圧(お腹の中の圧力)が高まります。

腹圧が高まると、腹筋群をはじめとする腰回りの筋肉の負担が軽減され、腰椎周囲の筋肉を支えることが可能になります。これは、お腹に力を入れて重いものを持ち上げるときと同じ原理です。

また、痛みが出ている部分に適度な圧迫を加えることで、痛みそのものを軽減できることも知られています。捻挫などのケガに対する応急処置(RICE処置)でも、圧迫(Compression)は重要な要素のひとつです。

安心感による日常生活のサポート

コルセットには、心理的な安心感を得られる効果もあります。

「腰が守られている」という感覚は、痛みの軽減にプラスに働くことがあります。実際に、コルセットを軽く巻いているだけでも楽に感じる方がいるのは、こうした心理的効果が大きいと言えるでしょう。

腰を動かす恐怖心が和らぐことで、過度に緊張していた筋肉がリラックスし、結果的に痛みの軽減につながることもあります。「着けている」という安心感が日常生活の動作をスムーズにし、活動性を維持できるメリットがあります。

コルセットの効果に関する研究報告

医学的研究によると、コルセットを着けることで「痛みが和らいだ」と主観的に感じる患者は多いものの、実際の可動域や復職率など客観的な改善効果は明確ではないとされています。一方で、日常生活での機能改善(動作がしやすくなるなど)には効果があるという報告が複数あり、コルセットは「痛みを治す治療」というより「痛みの中でも動けるよう手助けする」役割が期待できます。

出典:Effectiveness of lumbar supports in low back functionality and disability in assembly-line workers(Bataller-Cervero et al., 2019)

3.ぎっくり腰コルセットの正しい巻き方と位置

コルセットは、正しく装着しなければ十分な効果を発揮できません。実際に「コルセットをしているのに全然楽にならない」という方の多くは、装着位置や締め付け具合が適切でないケースが見られます。

ここでは、よくある間違いと正しい装着方法について詳しく解説します。

間違いやすいコルセットの装着位置

コルセットの装着でよくある間違いは、骨盤よりも上の位置(お腹の高い位置)に巻いてしまうことです。

お腹を冷やさないための腹巻きのように、ウエストの高い位置にコルセットを巻いてしまうと、骨盤や股関節を安定させることができません。これでは、コルセット本来の「腰への負担を下げる」効果が十分に得られません。

「コルセットをしているのにお腹がきついだけで痛みが改善しない」という方は、装着位置を見直してみてください。

正しい装着位置は「骨盤の上端」

コルセットの正しい装着位置

コルセットの正しい装着位置は、コルセットの下端が骨盤にかかるように、やや下方に巻くことです。

具体的には、コルセットの幅の中心が骨盤の上端(腰骨のでっぱり)にくるように装着します。こうすることで、骨盤と股関節を安定させ、腰への負担を効果的に軽減できます。

確認ポイント 正しい状態
コルセットの下端 骨盤(腰骨)にかかっている
コルセットの中心 骨盤の上端あたりに位置している
股関節の動き 制限されすぎていない(歩行に支障がない)
体を動かしているうちに、コルセットが上にずれてくることがあります。気づいたらこまめに装着し直すことをおすすめします。

適度な締め付け具合の目安

コルセットの締め付け具合も、効果を左右する重要なポイントです。

適度にきつく、しかし呼吸が楽にできる程度が目安です。

締め付けが緩すぎると、腰部の安定効果が得られません。一方、きつすぎると血行不良を招いたり、かえって痛みが増したりすることがあります。

  • 深呼吸をしても苦しくない程度の締め付け
  • 立位で背筋を伸ばした自然な姿勢で装着する
  • 可能であればお腹を少し凹ませた状態でぴったりと装着する
  • コルセットは肌着の上から装着する(直接肌につけない)

4.ぎっくり腰用コルセットのおすすめの選び方

ドラッグストアやスポーツ店に行くと、さまざまな種類のコルセットが並んでいます。「どれを選べばいいのかわからない」という方のために、ぎっくり腰に適したコルセットの選び方を3つのポイントにまとめました。

幅の広いタイプを選ぶ

ぎっくり腰の場合は、幅の広いコルセットをおすすめします。

コルセットは骨盤と股関節を安定させることで腰への負担を軽減します。幅が広いほど骨盤から腰部にかけてしっかりとサポートでき、痛みの軽減効果が高まります。

スポーツ用の細いタイプや、骨盤ベルトのような軽いサポーターは、ぎっくり腰のような急性期の激しい痛みには向いていません。ある程度の固定力があるしっかりしたタイプを選びましょう。

通気性のあるメッシュ素材がおすすめ

コルセットの素材には、メッシュ素材がおすすめです。

腰回りは汗をかきやすい部位です。特に暖かい季節や、長時間装着する場合は、通気性の良い素材でないと蒸れて不快になります。

コルセットの素材としては、メッシュ素材のほか、ゴムや綿とポリエステルの混合素材などがあります。寒い季節であれば厚手の素材でも問題ありませんが、オールシーズン使いやすいのはメッシュタイプです。

2重・3重の締め付け構造

コルセットの形状も選ぶ際のポイントです。

マジックテープで固定するタイプが一般的ですが、2重や3重で締め付けられる構造のものがより効果的です。

1重だけで固定するタイプよりも、複数のベルトで段階的に締められるタイプのほうが、しっかりと腰を固定できます。また、締め付け具合の微調整もしやすくなります。

サイズの選び方と価格の目安

コルセットを選ぶ際は、自分の体に合ったサイズを選ぶことも重要です。

項目 目安
市販品の価格帯 2,000円〜5,000円程度が一般的
医療用コルセット 30,000円〜40,000円(医療保険適用の場合あり)
サイズ選び ウエストサイズを測定し、適合サイズを確認

サイズが合わないと効果が薄れるだけでなく、かえって不快感や痛みを引き起こすことがあります。購入前に必ずウエストサイズを測り、パッケージに記載されたサイズ表を確認しましょう。

商品
興和 バンテリンコーワ サポーター 腰椎コルセット
バンテリンコーワ
腰椎コルセット
中山式 Dr.magico腰椎コルセット
中山式 Dr.magico腰椎コルセット
アシスト丸サポートバンド メッシュ
アシスト
丸サポートバンド メッシュ
幅(縦幅) 約24cm(ワイド) 約20〜25cm(ワイド) 約10cm(細幅)
通気性 ◎ メッシュ素材 ◎ メッシュ素材 ◎ メッシュ素材
締め付け構造 ダブルテーピングベルト 滑車式補助ベルト シンプル構造
サイズ展開 M・L・LL S〜3L S〜LL
価格帯 約4,000〜6,000円 約5,000〜8,000円 約2,000〜4,000円
特徴 薄手で服の下でも目立ちにくい。V字型構造で下腹部を持ち上げ、腰椎への負担を軽減。 整形外科医監修。滑車式ベルトで軽い力でもしっかり締められる。サイズ展開が豊富。 病院納品実績のある国産メーカー。軽量でコスパが良く、夏場や長時間使用に最適。
こんな方に 急性期でしっかり固定したい方 力の弱い方・大きいサイズが必要な方 コスパ重視・軽度の腰痛の方

5.コルセット使用時の注意点とデメリット

コルセットは正しく使えばぎっくり腰の痛みを和らげる強い味方になりますが、使い方を間違えるとかえって回復を遅らせてしまう可能性があります。以下の注意点をしっかり理解しておきましょう。

長期使用による筋力低下のリスク

コルセット使用の最大のデメリットは、長期間使い続けると腰回りの筋力が低下するリスクがあることです。

私たちの体には、本来「天然のコルセット」とも呼ばれる体幹の筋肉(腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群など)があり、腰を支えています。ところが、コルセットに頼りすぎると、これらの筋肉を使う機会が減り、筋力が衰えてしまいます。

新百合ヶ丘総合病院の報告によると、長期間のコルセット装着により、体幹の可動域や柔軟性、体幹周囲の筋力が低下することが懸念されています。筋力が低下すると、体幹が動作の軸として機能できなくなり、さまざまな動作でふらつきやすくなってしまいます。

筋力低下と使用期間について

ただし、短期間の使用であれば過度に心配する必要はありません。研究では、1カ月から6カ月程度のコルセット使用では、筋力低下が見られなかったという報告もあります。問題となるのは、痛みが落ち着いた後も「安心だから」「なんとなく楽だから」とダラダラと使い続けてしまうケースです。

出典:Can lumbosacral orthoses cause trunk muscle weakness? A systematic review of literature(Azadinia et al., 2017)

締め付けすぎによる血行不良

コルセットをきつく締めすぎると、血行不良を招く恐れがあります。

特に注意が必要なのは、就寝時や長時間座っているときです。動いているときは、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用で血液循環が保たれていますが、安静時はこの作用が働かないため、コルセットによる圧迫の影響を受けやすくなります。

血行不良になると、人間が本来持っている自然治癒力が十分に発揮できなくなる可能性があります。

コルセットに頼りすぎない心構え

コルセットはあくまで対症療法的な補助具であり、根本的な治療ではないことを忘れないでください。

腰痛診療ガイドライン2019でも示されているように、コルセットには腰痛に対する直接的な予防効果は認められていません。また、「コルセットを着けていれば腰痛が早く治る」というわけでもありません。

大切なのは、痛みが落ち着いてきたら、可能な範囲で普段通りの生活を送ることです。コルセットは「痛みが強い時期を乗り越えるための道具」として活用し、徐々に外していくことを目指しましょう。

6.寝る時にコルセットはつけるべき?

「寝るときもコルセットをつけていたほうがいいの?」という質問をいただくことがあります。結論から言うと、就寝時は基本的にコルセットを外すことをおすすめします。

就寝時はコルセットを外すのが基本

コルセットは、動く際の腰の負担を軽減するためのものです。寝ている状態では腰への負担は比較的少なく、コルセットの必要性は低くなります。

横になっている状態であれば、立ったり歩いたりするときほど痛みが強くないケースも多いです。このような場合は、就寝時にコルセットを着用していても治りが早くなるわけではありません。

むしろ、就寝時のコルセット着用には以下のようなデメリットがあります。

  • 血流が阻害される可能性がある
  • 寝返りがしにくくなる
  • 朝起きる際にかえって痛みを感じることがある
  • 睡眠の質が低下する可能性がある

寝返りへの影響と注意点

寝ている間の寝返りは、体の血流を促進し、筋肉のこわばりを防ぐために重要な動作です。コルセットを着けたまま寝ると、この寝返りがしにくくなってしまいます。

ただし、例外として以下のようなケースでは、就寝時のコルセット着用を検討してもよいでしょう。

  • 寝返りをするのも困難なほど痛みが強い
  • コルセットを着けていれば多少は寝返りが打てる
  • 発症直後の最も痛みが強い時期(1〜2日程度

このような状態であれば、一時的に就寝時もコルセットを使用することで、少しでも楽に眠れる可能性があります。ただし、痛みが落ち着いてきたら、できるだけ早く就寝時の使用はやめましょう。

医師や理学療法士から特別な指示を受けている場合は、その指示に従ってください。自己判断で迷う場合は、専門家に相談することをおすすめします。

7.コルセットで筋力は本当に落ちる?真実を解説

「コルセットを使うと筋力が落ちる」という話を聞いて、使用をためらっている方もいるかもしれません。この点について、正確な情報をお伝えします。

短期使用なら筋力低下の心配は少ない

結論から言うと、短期間の使用であれば、筋力低下を過度に心配する必要はありません。

研究によると、1カ月から6カ月程度のコルセット使用では、筋力低下が見られなかったという報告があります。ぎっくり腰の急性期(数日〜1週間程度)にコルセットを使用することで、すぐに腰の筋力が落ちてしまうわけではないのです。

大切なのは、必要な時期に適切に使い、必要がなくなったら外すというメリハリです。「筋力が落ちるから」と痛みを我慢してコルセットを使わないのは、かえって日常生活の活動量を減らし、回復を遅らせてしまう可能性があります。

長期使用で低下しやすい「コルセット筋」とは

問題となるのは、長期間にわたってコルセットを使い続けるケースです。

特に注意すべきは、「コルセット筋」とも呼ばれる体幹のインナーマッスルです。具体的には、腹横筋多裂筋骨盤底筋群などがこれにあたります。

これらの筋肉は脊柱の安定化に重要な役割を果たしており、コルセットと類似する働きを持っています。長期間コルセットに頼っていると、これらの筋肉を使う機会が減り、徐々に筋力が低下していきます。

コルセット筋
筋肉の名称 主な役割
腹横筋 お腹を締めて腹圧を高め、脊柱を安定させる
多裂筋 背骨の一つひとつを安定させ、姿勢を保持する
骨盤底筋群 骨盤を下から支え、体幹の安定に寄与する

筋力が低下すると、ぎっくり腰が治りにくくなったり、再発しやすくなったりするリスクがあります。コルセットは「治るまでの間の補助」と考え、回復に合わせて徐々に外していくことが大切です。

8.ぎっくり腰とコルセットに関するよくある質問

ぎっくり腰でコルセットを使用するにあたって、よく寄せられる質問にお答えします。

Q1: コルセットは市販品でも効果がありますか?

A: はい、市販品でも効果は期待できます。

ドラッグストアやスポーツ店で販売されているコルセットでも、正しく装着すれば腰部のサポート効果は得られます。市販品の価格帯は2,000円〜5,000円程度が一般的で、調整しやすいモデルも多く販売されています。

ただし、椎間板ヘルニアや腰椎圧迫骨折など、特定の疾患が原因の腰痛の場合は、医師の診断を受けて適切なコルセットを処方してもらうことをおすすめします。痛みが1週間以上続く場合や、足のしびれを伴う場合は、早めに整形外科を受診しましょう。

Q2: 仕事中だけ装着しても大丈夫ですか?

A: はい、仕事中だけの使用でも問題ありません。

むしろ、使用シーンを限定することは、コルセット卒業への良いステップです。

たとえば、デスクワークで長時間座っている方、立ち仕事や肉体労働が多い方は、仕事中に腰への負担が大きくなります。このような場合、仕事中だけコルセットを装着し、自宅でのリラックス時や就寝時は外すという使い分けが有効です。

激しい痛みがある急性期を過ぎたら、徐々に「必要な場面だけ」に使用を限定していきましょう。

Q3: コルセットを外すタイミングの具体的な目安は?

A: 以下のような状態になったら、少しずつ外す時間を増やしましょう。

  • 日常生活の動作(立つ、座る、歩く)が自力でできるようになった
  • 動くたびに激痛が走る状態ではなくなった
  • 発症から2〜3日経過し、最も強い痛みのピークを過ぎた
  • コルセットなしでも「なんとか動ける」と感じる

一度に完全に外すのではなく、段階的に進めるのがポイントです。まずは自宅にいるとき、次に近所への外出時、そして最後に仕事中…というように、徐々に外す時間を増やしていきましょう。

なお、コルセットを外しても1週間以上痛みが続く場合や、むしろ症状が悪化している場合は、他の病気が隠れている可能性があります。椎間板ヘルニアや圧迫骨折など、専門的な治療が必要なケースもありますので、早めに整形外科を受診してください。

9.まとめ|ぎっくり腰のコルセットは正しく使えば強い味方に

ぎっくり腰とコルセットについて、判断基準から正しい使い方、選び方まで詳しく解説してきました。

コルセットは、正しく使えばぎっくり腰のつらい時期を乗り越える強い味方になります。ただし、頼りすぎず、回復に合わせて徐々に自分の筋肉で腰を支えられるようにしていくことが大切です。

ぎっくり腰は多くの場合、1〜3週間で自然と軽快していきます。しかし、痛みが長引く場合や、足のしびれなど他の症状がある場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。

ぎっくり腰で通院が困難な方や、医療機関への移動にお困りの方は、民間救急や介護タクシーのサービスをご利用いただくことも可能です。東京メディ・ケア移送サービスでは、急な腰痛で動けない方の通院サポートも承っております。お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

監修者
長井靖

東京メディ・ケア移送サービス代表 長井 靖

群馬県前橋市出身、臨床検査技師。
医療機器メーカーにて30年人工呼吸器の販売・保守を担当後、呼吸器搬送など医療搬送分野に特化した東京メディ・ケア移送サービスを設立。
日常のケガや病気、介護での通院のほか、輸液ポンプ、シリンジポンプなどの医療機器を導入した高度医療搬送も展開。搬送用高度医療機器の販売・レンタル、研修・セミナーも行う。

監修者・事業者について