新型コロナウイルスに感染し、自宅療養中の方の中には「どのような症状になったら救急車を呼べばいいのか」「このくらいの症状で救急車を呼んでも大丈夫なのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、厚生労働省や東京都保健医療局の公式ガイドラインに基づき、救急車を呼ぶべき具体的な症状や判断基準についてご説明します。少しでも体調の変化を感じた際の参考にしてください。
コロナで救急車を呼ぶべき12の症状
新型コロナウイルスに感染して自宅療養中、以下のいずれかの症状が出現した場合は、躊躇せずに119番通報して救急車を要請してください。症状が複数重なる必要はありません。1つでも該当する項目があれば、速やかに救急要請することが推奨されています。
- 顔色が明らかに悪い(※)
- 唇が紫色になっている
- いつもと違う、様子がおかしい(※)
- 息が荒くなった(呼吸数が多くなった)
- 日常生活の中で少し動くと息があがる
- 胸の痛みがある
- 横になれない、座らないと息ができない
- 肩で息をしている・ゼーゼーしている
- ぼんやりしている(反応が弱い)(※)
- もうろうとしている(返事がない)(※)
- 脈が飛ぶ、脈のリズムが乱れる感覚がある
- パルスオキシメーターの数値(SpO2)が90以下
※印のついている項目については、本人による判断が難しいため、同居している家族や周囲の方が確認するようにしましょう。特に意識障害の症状は、本人が気付きにくい場合が多いため、周囲の方による観察が重要です。
救急車の要請を迷った場合は、救急安心センター(#7119)や救急相談センター、小児救急相談(#8000)、各都道府県の発熱相談センター、またはかかりつけ医への電話相談を活用することができます。医療の専門家に相談することで、適切な判断を得ることができます。
コロナの症状と重症度の判断基準
コロナウイルス感染症の重症度は、主に呼吸機能の状態によって判断されます。厚生労働省の基準を見てみましょう。
重症度 | 症状の特徴 |
---|---|
軽症 | 肺炎の症状がなく、SpO2が96%以上 |
中等症Ⅰ | 肺炎症状があり、SpO2が93~96% |
中等症Ⅱ | 呼吸不全があり、SpO2が93%以下で酸素投与が必要 |
重症 | 人工呼吸器管理などの集中治療が必要 |
注目すべき点として、新型コロナウイルス感染症では、症状が急激に悪化するケースが報告されています。特に、発症から1週間程度経過した後に急激な悪化を示すことがあるため、軽症と判断されている場合でも、定期的な症状チェックが重要です。
救急車を呼ぶまでではない症状とその対応
救急車を要請するほどではありませんが、以下の症状がある場合は、かかりつけ医や保健所、自治体のコロナ相談窓口に連絡する必要があります。
- 自宅内での生活動作(移動・食事・トイレなど)がつらい
- 咳が激しい、痰が多い
- 経験したことがないひどい倦怠感がある
- SpO2が93以下
これらの症状がある場合、すぐに医療機関への相談が必要です。症状が徐々に進行する可能性もあるため、早めの対応を心がけましょう。
自宅療養中の症状チェックの方法
1日2回以上のパルスオキシメーターでの計測
自宅療養中は、1日2回以上のパルスオキシメーターによる計測が推奨されています。パルスオキシメーターは、指先に装着することで血中酸素飽和度(SpO2)を測定できる医療機器です。多くの自治体で無償貸与を行っています。
▼測定の際の注意事項
- 安静時に測定する
- 手が冷たい場合は少し温めてから測定する
- マニキュアを塗っている場合は除去してから測定する
息苦しさの有無や程度を記録しておく
血中酸素飽和度の測定とあわせて、体温と息苦しさの有無や程度もチェックしておきましょう。特に息苦しさについては、細かな変化も見逃さないようにしましょう。体調の変化は、メモやスマートフォンのメモ機能などを使って記録することをお勧めします。
家族によるチェックをしてもらう
自覚症状がない場合でも重症化することがあるため、同居家族による観察が重要です。特に顔色の変化や意識レベルの低下については、本人が気付きにくい症状のため、家族による定期的なチェックが必要です。
重症化を防ぐために心がけること
水分・栄養補給を行う
発熱により失われる水分を補うため、こまめな水分補給が重要です。また、十分な栄養摂取は回復を早める効果があります。食欲が落ちている場合でも、可能な範囲で栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
アルコール・喫煙を控える
自宅療養中の飲酒や喫煙は厳禁です。アルコールは体調の正確な把握を妨げ、喫煙は呼吸器症状を悪化させる可能性があります。また、これらは免疫機能の低下を招く可能性もあるため、控えるようにしましょう。
緊急時の搬送手段について
救急車を要請すべき緊急性の高い症状がある場合は、必ず救急車(119番)を要請してください。命に関わる可能性がある状況では、迷わず救急車の要請をお願いします。
一方で、緊急性が高くない場合や、医療機関からの転院、自宅やホテルへの移動が必要な場合は、民間救急車の利用も選択肢の一つとなります。東京メディ・ケア移送サービスでは、コロナ禍においても感染対策を万全に整えた搬送を実施してきました。特に病院からホテル療養施設への移送など、多数の実績があります。
また、人工呼吸器や医療モニターなどの医療機器が必要な方の搬送にも24時間体制で対応可能です。一般の方はもちろん、医療機器を必要とする方の転院や施設への移動など、専門的なケアが必要な場合も、ぜひご相談ください。