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発熱外来は何度から?大人と高齢者で違う受診の目安と正しい判断基準を解説

 
発熱外来は何度から?大人と高齢者で違う受診の目安と正しい判断基準を解説

「熱が出たけど、何度から発熱外来を受診すればいいの?」「高齢の親が微熱だけど、病院に連れて行くべき?」——発熱したとき、こうした判断に迷う方は少なくありません。

実は、発熱外来を受診すべき体温の基準は年齢や体質によって異なります。特に高齢者は平熱が低く、重い感染症にかかっていても微熱程度しか出ないケースがあるため、大人と同じ基準で判断すると病気を見逃してしまう恐れがあります。

この記事では、発熱外来は何度から受診できるのかという基本的な疑問から、大人と高齢者それぞれの受診の目安、すぐに受診すべき危険な症状、発熱外来を受診する際の準備まで、詳しく解説します。ご自身やご家族が発熱した際の判断材料として、ぜひ参考にしてください。

1.発熱外来は何度から受診できる?基本的な体温の基準

発熱外来を受診する際、まず気になるのが「何度から行けるのか」という点でしょう。ここでは、医学的な発熱の定義と、発熱外来を受診する目安となる体温について解説します。

感染症法が定める「発熱」と「高熱」の定義

日本の感染症法では、発熱を37.5℃以上、高熱を38.0℃以上と定義しています。この基準は、日本人の平均体温が約36.9℃であることに基づいて設定されたものです。

つまり、平熱より約0.5〜0.6℃体温が上昇した状態が「発熱」にあたります。ただし、これはあくまで統計的な目安であり、すべての方に当てはまるわけではありません。

区分 体温の目安 一般的な対応
平熱 36.5℃±0.5℃ 通常の体調管理
微熱 37.0〜37.4℃ 経過観察、症状次第で受診
発熱 37.5℃以上 発熱外来の受診を検討
高熱 38.0℃以上 速やかに医療機関を受診

発熱外来を受診する目安は37.5℃以上

多くの医療機関では、37.5℃以上の発熱がある場合に発熱外来の受診を推奨しています。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの感染症は、37.5℃以上の発熱を伴うことが多いためです。

ただし、37.5℃に満たない場合であっても、咳や喉の痛み、強い倦怠感などの症状がある場合は、発熱外来の対象となることがあります。体温の数値だけでなく、全身の状態を総合的に判断することが大切です。

平熱には個人差がある——「何度から」は人によって異なる

「発熱外来は何度から?」という問いに対する正確な答えは、その方の平熱によって異なるということです。

たとえば、普段の平熱が35.5℃の方にとっては、36.8℃でも体調の異変を感じることがあります。逆に、平熱が37.0℃近い方であれば、37.5℃程度ではそれほど異常を感じないかもしれません。

厚生労働省も、一律に37.5℃を基準とするのではなく、自分の平熱を踏まえたうえで高熱かどうかを判断してほしいという考え方を示しています。普段から自分の平熱を把握しておくことが、適切な受診タイミングの判断につながります。

平熱は測定するタイミングや部位によっても変わります。朝は低く、夕方にかけて高くなるのが一般的ですので、毎日同じ時間帯に計測する習慣をつけておくことをおすすめします。

2.大人の発熱外来受診の目安|体温と症状で判断するポイント

大人が発熱した場合、体温の数値だけでなく、伴っている症状や発熱の経過を含めて総合的に判断することが重要です。ここでは、大人が発熱外来を受診すべきかどうかの判断ポイントを詳しく解説します。

大人の発熱外来受診の目安|体温と症状で判断するポイント

37.5℃以上で受診を検討するケース

大人の場合、発熱外来の受診を検討する最初の目安は37.5℃以上の発熱です。特に、発熱と同時に次のような症状がある場合は、早めに受診しましょう。

  • 咳、喉の痛み、鼻水などの呼吸器症状がある
  • 強いだるさ(倦怠感)で日常生活に支障がある
  • 関節痛や筋肉痛がある
  • 感染症の患者と接触した可能性がある
  • 職場や学校で感染症が流行している

これらの症状を伴う発熱は、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症の可能性が高いと考えられます。特に、急激に38℃以上の高熱が出た場合は、インフルエンザを強く疑う根拠となります。

38℃以上は速やかに受診を

38.0℃以上の高熱が出た場合は、軽い症状であっても速やかに発熱外来を受診することをおすすめします。高熱は体への負担が大きく、放置すると脱水症状を引き起こしたり、症状が急速に悪化したりする恐れがあるためです。

特にインフルエンザの場合、抗ウイルス薬の効果を最大限に得るためには、発症から48時間以内に投与を開始する必要があります。受診が遅れるとこのタイミングを逃してしまいますので、高熱が出たら早めの行動を心がけましょう。

様子を見てもよい場合の判断基準

一方で、すべての発熱で必ず受診しなければならないわけではありません。以下の条件に当てはまる場合は、自宅で経過観察しても問題ないことが多いです。

  • 熱は37℃台で、元気があり食事も取れている
  • 咳や鼻水はあるが軽度で、呼吸に問題はない
  • 発熱が1日で解熱し、他に強い症状がない
  • 持病がなく、日常生活に大きな支障がない

ただし、解熱剤を使用しても熱が下がらない場合や、日を追うごとに症状が悪化している場合は、早めに受診してください。自己判断に迷ったときは、かかりつけ医や発熱外来に電話で相談するとよいでしょう。

発熱が何日続いたら受診すべき?

発熱の持続期間も、受診を判断する重要なポイントです。一般的な風邪による発熱は7日以内に軽快することが多いとされています。

発熱が4日以上続く場合は、風邪以外の病気が隠れている可能性がありますので、医療機関を受診しましょう。また、いったん解熱した後に再び発熱する(ぶり返す)パターンも要注意です。

発熱が1週間以上続くケースでは、自己免疫疾患や腫瘍性の疾患など、単純な感染症以外の原因も考えられます。長引く発熱は放置せず、必ず医師に相談してください。

3.高齢者の発熱は何度から危険?大人とは異なる受診基準

高齢者の発熱は、大人(若年〜中年層)とは大きく異なる特徴があります。ここでは、高齢者ならではの発熱の特徴と、ご家族や介護者が注意すべきポイントについて詳しく解説します。

高齢者は平熱が低く、発熱しにくい

高齢者の発熱を考えるうえでまず知っておくべきことは、加齢に伴い体温調節機能と免疫反応が低下するため、病気にかかっても高い熱が出にくくなるという点です。

若い方であれば38℃以上の高熱が出るような感染症でも、高齢者の場合は微熱(37℃台前半)程度しか体温が上がらないことがあります。テルモ体温研究所の報告でも、高齢者は免疫反応の低下により体温がそれほど上がらなくても感染症が進行している場合があると指摘されています。

さらに、高齢者は筋肉量が少ないため、そもそも基礎的な熱産生能力が低下しています。体温調節能は成人と比べて約10%低下しているとされ、平熱自体も若年層より約0.2℃低い傾向にあります。

高齢者の受診目安は「平熱+1℃」

高齢者の場合、発熱外来を受診する目安は一律に37.5℃とするのではなく、平熱より1℃以上高くなったら体調不良を疑うという考え方が重要です。

たとえば、平熱が35.8℃の高齢者の方であれば、36.8℃でも十分に「発熱」と考える必要があります。37.5℃を待ってから受診を検討していたのでは、その間に症状が進行してしまう恐れがあります。

普段の平熱 注意すべき体温 推奨される対応
35.5℃前後 36.5℃以上 全身状態を注意深く観察、他の症状があれば受診
36.0℃前後 37.0℃以上 食欲や活動量の変化を確認、受診を検討
36.5℃前後 37.5℃以上 速やかに医療機関へ相談・受診

体温だけで判断しない——高齢者の発熱のサイン

高齢者の場合、体温だけでは病気の進行を正確に判断できないことがあります。体温が平熱であっても、以下のような「いつもと違う」変化が見られたら、発熱や感染症を疑いましょう

  • なんとなく元気がなく、ぼんやりしている
  • 食事の量が急に減った
  • 横になっている時間が急に増えた
  • 立ち上がるのにいつも以上に手助けが必要になった
  • 顔色が悪い、または体を触ると熱い
  • 呼びかけに対する反応が鈍い
特に認知症の方は、自分の体調不良をうまく伝えられない場合があります。周囲の方が普段から顔色、食欲、活動量、表情をよく観察し、変化を見逃さないことが大切です。

4.すぐに発熱外来を受診すべき危険な症状

発熱外来を受診するかどうか迷ったとき、体温の数値に加えて「どんな症状が出ているか」を確認することが非常に重要です。ここでは、体温にかかわらずすぐに医療機関を受診すべき危険な症状をまとめます。

緊急性の高い症状——すぐに受診・救急要請を

以下のような症状がある場合は、体温が何度であっても直ちに医療機関を受診するか、救急車(119番)を呼ぶべきです。

すぐに救急対応が必要な症状

・呼吸困難、息苦しさがある
・意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しない
・顔色が青白い、唇が紫色になっている(チアノーゼ)
・持続的な嘔吐で水分が取れない
・首のこわばりを伴う激しい頭痛
・けいれんを起こしている

これらの症状は、肺炎による呼吸不全髄膜炎敗血症など、命に関わる重篤な疾患のサインである可能性があります。「少し様子を見よう」と迷う時間が命取りになることがありますので、ためらわず救急対応を求めてください。

早めの受診が必要な症状

緊急ほどではないものの、以下のような症状がある場合は、なるべく早く発熱外来を受診することをおすすめします。

  • 38℃以上の高熱が2日以上続いている
  • 解熱剤を使っても熱が十分に下がらない
  • 水分や食事がほとんど取れていない
  • 強い倦怠感で起き上がれない
  • 喉の痛みがひどく、水も飲み込めない
  • 痰に血が混じっている
  • 尿の色が非常に濃い、または尿が出ない

重症化リスクが高い方の受診基準

以下に該当する方は、37.5℃未満の微熱や軽い風邪症状であっても、早めに医療機関に相談することが望ましいです。

  • 75歳以上の高齢者
  • 糖尿病、心疾患、慢性呼吸器疾患などの基礎疾患がある方
  • がんの治療中、または免疫抑制剤を使用中の方
  • 透析治療を受けている方
  • 妊娠中の方

これらの方は免疫力が低下していたり、感染症に対する抵抗力が弱かったりするため、一般の方よりも重症化しやすい傾向にあります。「このくらいの熱で病院に行ってもいいのかな」と遠慮する方もいらっしゃいますが、早期発見・早期治療が最も大切です。

5.発熱外来とは?一般外来との違いと診察の流れ

発熱外来という言葉は聞いたことがあっても、具体的にどのような場所でどのような診察が行われるのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。ここでは、発熱外来の基本的な仕組みを解説します。

発熱外来の目的と成り立ち

発熱外来とは、発熱や咳・鼻水・喉の痛みなどの風邪症状がある患者さんを、通常の外来とは別のスペースや時間帯で診察する仕組みです。

この仕組みが広まったきっかけは、2002年に大流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)でした。その後、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、全国の医療機関で発熱外来の整備が急速に進みました。

発熱外来の最大の目的は、感染力の強い病気を持っている可能性のある患者さんと、一般の患者さんとの接触を防ぎ、院内感染を予防することにあります。

一般外来との主な違い

項目 発熱外来 一般外来
対象患者 発熱や風邪症状のある方 発熱・感染症状のない方
診察場所 隔離された専用スペース 通常の診察室
予約 事前予約が必要な場合が多い 予約不要の場合も多い
検査内容 感染症の迅速検査を実施 症状に応じた通常検査

発熱外来での診察の流れ

発熱外来を受診する際の一般的な流れは次のとおりです。

まず、受診前に電話またはオンラインで予約を行います。多くの医療機関では、感染拡大防止のために予約制としていますので、必ず事前に連絡しましょう。

予約時には、いつから発熱しているか、最高体温は何度か、発熱以外の症状は何か、周囲に感染者がいるかなどを伝えます。来院する際はマスクを着用し、感染予防に配慮してください。

来院後は、通常の診察室とは別の専用スペースに案内されます。問診(症状や経過の確認)、聴診や視診などの診察、そしてインフルエンザや新型コロナウイルスの迅速検査が行われます。検査結果はその場で説明されることが多く、結果に応じた処方や治療方針が提示されます。

前日に発熱があり、受診当日に解熱している場合でも、一度発熱した事実がある以上は発熱外来の対象となります。「熱が下がったから一般外来でいいだろう」と自己判断せず、医療機関に相談して指示を仰ぎましょう。

6.発熱外来を受診する前に準備しておくこと

発熱外来をスムーズに受診するためには、事前の準備が大切です。ここでは、受診前に用意しておくべきものや注意点をまとめます。

受診前の準備チェックリスト

発熱外来を受診する際は、以下の持ち物や情報を準備しておきましょう。

  • 保険証・医療証(マイナンバーカードも可)
  • お薬手帳(現在服用中の薬がわかるもの)
  • 体温の記録(発熱が始まった日時、最高体温、経過をメモ)
  • 症状のメモ(咳・喉の痛み・頭痛・倦怠感など)
  • マスク(来院時は必ず着用)
  • 替えのマスク、ティッシュ、水分補給用の飲み物

特に体温の記録は重要です。「いつから熱が出たか」「最高何度まで上がったか」を医師に正確に伝えることで、診断の精度が大きく変わります。可能であれば、1日に数回体温を測り、時間と一緒に記録しておきましょう。

受診前に避けるべきこと

検査の精度を保つために、発熱外来の受診前少なくとも15分間は、飲食・喫煙・歯磨きを控えてください。これらの行為は、特に鼻腔や咽頭の検体を使用する検査(抗原検査やPCR検査など)の結果に影響を与える可能性があるためです。

発熱外来の探し方

お住まいの地域で発熱外来を実施している医療機関は、各都道府県のホームページで公開されていることが多いです。また、かかりつけ医がある方は、まずかかりつけ医に電話で相談するのがスムーズです。

なお、発熱外来を受診する際は、必ず事前に電話やオンラインで予約を入れてから来院するようにしましょう。予約なしで直接訪れると、院内感染防止の観点から、すぐに案内できないことがあります。

7.発熱外来に関するよくある質問

発熱外来について、よく寄せられる質問にお答えします。

Q1: 37.5℃未満でも発熱外来を受診できますか?

A: はい、多くの医療機関で受診可能です。

発熱外来の受診基準は37.5℃以上としているところが多いですが、37.5℃未満であっても咳や喉の痛みなどの風邪症状がある場合は対応してもらえることがほとんどです。また、平熱が低い方は37.5℃に達していなくても発熱状態にある場合があります。迷ったときは、受診先の医療機関に電話で相談してみてください。

Q2: 発熱外来の費用はどのくらいですか?

A: 保険適用で、初診料を含めて3,000〜5,000円程度が目安です。

費用は医療機関や実施する検査の内容によって異なりますが、一般的に診察代・検査代・処方箋代を含めた費用は保険適用(3割負担)の場合で3,000〜5,000円程度です。ただし、複数の検査を行ったり、追加の処置が必要な場合はこの限りではありません。診断書の発行を希望する場合は、別途費用がかかります。

Q3: 熱が下がったら発熱外来ではなく一般外来で受診できますか?

A: 一度発熱した場合は、発熱外来での受診が望ましいです。

前日に37.6℃の発熱があり、翌日36.7℃に下がったとしても、一度発熱している以上は感染症の可能性があります。解熱しても体内でウイルスが活動しているケースがあるため、院内感染防止の観点から、発熱外来の対象として対応している医療機関が多いです。受診先に事前に確認するとよいでしょう。

Q4: 発熱で動けないときはどうすればいいですか?

A: オンライン診療の活用や、移送サービスの利用を検討しましょう。

高熱で起き上がるのも困難な場合、スマートフォンやパソコンを使ったオンライン診療を活用する方法があります。自宅にいながら医師の診察を受け、薬の処方を受けることが可能です。

また、一人暮らしの方や高齢者で付き添いなしでの通院が難しい場合は、民間救急や介護タクシーといった医療搬送サービスを利用する方法もあります。東京メディ・ケア移送サービスでは、発熱時の通院サポートも承っております。

Q5: 検査の前に食事や歯磨きをしても大丈夫ですか?

A: 受診の少なくとも15分前からは飲食・喫煙・歯磨きを控えてください。

インフルエンザや新型コロナウイルスの検査では、鼻腔や咽頭から検体を採取します。直前に飲食や歯磨きをすると、検体が薄まったり異物が混じったりして、偽陰性(実際は感染しているのに陰性と出る)の原因になることがあります。正確な結果を得るためにも、検査前の飲食等は控えましょう。

8.まとめ|発熱外来の受診は体温と症状を総合的に判断

発熱外来は何度から受診すべきかについて、大人と高齢者それぞれの判断基準から、危険な症状、発熱時の対処法まで幅広く解説してきました。

発熱外来の受診目安は、一般的には37.5℃以上とされていますが、これはあくまで目安です。大切なのは、普段の自分の平熱を知り、体温の変化と全身の症状を総合的に見て判断することです。

特に高齢者は、微熱であっても重篤な感染症が隠れていることがあります。「平熱より1℃以上高い」「いつもと様子が違う」と感じたら、早めに医療機関へ相談してください。

また、息苦しさや意識の低下、けいれんなどの緊急性の高い症状が見られた場合は、体温に関係なく、ためらわず救急車を呼びましょう。

発熱時に通院が困難な方や、高齢のご家族を医療機関へ送り届ける手段にお困りの方は、民間救急や介護タクシーの利用もご検討ください。東京メディ・ケア移送サービスでは、東京消防庁認定の患者等搬送事業者として、発熱時の通院サポートや病院への安全な移送を行っています。お気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

監修者
長井靖

東京メディ・ケア移送サービス代表 長井 靖

群馬県前橋市出身、臨床検査技師。
医療機器メーカーにて30年人工呼吸器の販売・保守を担当後、呼吸器搬送など医療搬送分野に特化した東京メディ・ケア移送サービスを設立。
日常のケガや病気、介護での通院のほか、輸液ポンプ、シリンジポンプなどの医療機器を導入した高度医療搬送も展開。搬送用高度医療機器の販売・レンタル、研修・セミナーも行う。

監修者・事業者について