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高齢者の転倒で病院に行くべきか判断する5つのポイントと受診時の診療科

 
高齢者の転倒で病院に行くべきか判断する5つのポイントと受診時の診療科

高齢のご家族が転倒してしまったとき、「病院に行くべきだろうか」「このまま様子を見ても大丈夫だろうか」と判断に迷う方は少なくありません。高齢者の転倒は若い方とは異なり、見た目では軽そうに見えても、骨折や頭蓋内出血など重大なケガが隠れていることがあります。

しかし、転倒後の症状や状況に応じた判断ポイントを知っておけば、慌てずに適切な対応をとることが可能です。

この記事では、高齢者が転倒した際に病院に行くべきかどうかを判断するための5つのポイントと、受診すべき診療科の選び方について詳しく解説します。万が一のときに備えて、ぜひ参考にしてください。

1.高齢者の転倒が危険な理由とは?若い人との違いを解説

高齢者の転倒がなぜ危険とされているのか、その背景を理解しておくことは非常に大切です。若い方が転んだ場合と高齢者が転んだ場合とでは、身体への影響がまったく異なります。ここでは、高齢者の転倒が深刻な結果を招きやすい理由について解説していきます。

骨密度の低下と骨折リスク

高齢になると、加齢や骨粗しょう症の影響で骨密度が低下し、骨がもろくなっています。そのため、若い方なら何ともないような軽い衝撃でも、高齢者では骨折につながることがあります

特に注意が必要なのは、大腿骨頸部骨折(太ももの付け根の骨折)と脊椎圧迫骨折(背骨の骨折)です。大腿骨頸部骨折は、転倒して起き上がれなくなった場合に最も多い原因とされており、寝たきりの直接的な原因になり得ます。

脊椎圧迫骨折は、しりもちをついただけでも発生することがあり、腰や背中の痛みとして現れます。高度な骨密度低下がある場合は、物を持ち上げる動作だけでも骨折してしまうケースがあるほどです。

脳への影響が遅れて現れる危険性

高齢者の転倒で最も怖いのは、頭部外傷による脳のダメージです。高齢者は加齢に伴い脳が萎縮しており、頭蓋骨と脳の間にすき間が生じやすくなっています。このすき間があることで、軽い衝撃でも脳の表面にある血管が切れ、硬膜下血腫を形成しやすくなります。

特に注意が必要なのは、転倒直後は何の症状もなかったのに、数週間から数ヶ月後に症状が出現する「慢性硬膜下血腫」です。頭痛や物忘れ、手足の麻痺などが徐々に現れますが、認知症の症状と間違われて発見が遅れることがあります。

また、心疾患の治療などで抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を服用している高齢者は、出血が止まりにくく、頭蓋内出血のリスクがさらに高まります。

転倒後の「転倒後症候群」にも注意

高齢者が転倒すると、身体的なケガだけでなく、精神面にも大きな影響を与えます。「また転ぶのではないか」という転倒恐怖から行動範囲が狭まり、活動量が低下します。活動量の低下は筋力の衰えを招き、さらに転倒しやすくなるという悪循環に陥ります。

この一連の悪循環は「転倒後症候群(Post-fall syndrome)」と呼ばれ、高齢者の健康状態を急速に悪化させる要因の一つです。転倒を「たかが転んだだけ」と軽く考えず、適切に対応することが、その後の生活の質を守ることにつながります。

高齢者の転倒に関するデータ

国立長寿医療研究センターによると、65歳以上の在宅高齢者の約2割が1年間に1回以上転倒し、施設に入居している方では3割以上が転倒すると報告されています。80歳以上では不慮の事故による死因のうち転倒が約3割を占め、交通事故の約5%と比較して非常に高い割合です。

2.高齢者が転倒したときの病院受診の判断ポイント5つ

高齢者が転倒してしまったとき、すぐに救急車を呼ぶべきなのか、それとも様子を見てからかかりつけ医を受診すれば良いのか、判断に迷う場面は多いものです。ここでは、高齢者の転倒後に病院に行くべきかどうかを判断するための5つのポイントをお伝えします。

高齢者が転倒したときの病院受診の判断ポイント5つ

ポイント①:意識の状態を確認する

転倒後にまず確認すべきは、ご本人の意識の状態です。呼びかけに対して反応があるか、いつもと同じように会話ができるかを確認してください。

呼びかけに応じない場合や、意識がもうろうとしている場合は、脳内出血や脳挫傷の可能性があるため、迷わず119番で救急車を呼んでください。意識があっても、ぼんやりしている、同じことを繰り返し言う、つじつまの合わない受け答えをするといった場合は、脳へのダメージが疑われます。

すぐに救急車を呼ぶべき意識の異常

呼びかけに反応がない・会話の内容がおかしい・急に眠り込む・嘔吐を繰り返す、といった症状が一つでもみられた場合は、ためらわず119番通報してください。

ポイント②:頭を打ったかどうかを確認する

高齢者の転倒で特に注意すべきなのが、頭部を打っているかどうかという点です。高齢者は若い方と比べて、とっさに手をつくことが難しく、直接頭部を地面にぶつけてしまうことがあります。

頭を打った直後に異常がなくても、高齢者の場合は脳の萎縮があるため、軽い出血ではすぐに症状が現れないことがあります。そのため、頭部を打撲した場合は、たとえその場で元気そうに見えても、医療機関を受診して検査を受けることが重要です。

特に65歳以上の高齢者は、頭を打っただけで頭部CT検査の適応になることが多いとされています。抗凝固薬を服用中の方は、さらにリスクが高いため必ず受診しましょう。

受診後も少なくとも48時間は注意深く様子を観察し、頭痛の悪化、吐き気、手足のしびれ、ろれつの回らなさなど普段と異なる様子がないか確認してください。

ポイント③:痛みの部位と強さを確認する

転倒後にどこに痛みがあるかは、骨折の有無を判断するうえで非常に重要な情報です。高齢者に多い骨折の部位と、それぞれの特徴を把握しておきましょう。

骨折しやすい部位 主な症状 注意点
大腿骨頸部(太ももの付け根) 股関節の激しい痛み、立てない・歩けない、脚の変形 歩けていても片足立ちができなければ骨折の可能性あり
脊椎(背骨) 腰や背中の痛み、特に立ち上がりや寝返り時に増強 歩行時には痛みがなくても、体位変換時に痛む場合は骨折を疑う
橈骨遠位端(手首) 手首の痛み・腫れ・変形 手をついて転んだ場合に多い
上腕骨近位部(腕の付け根) 肩の痛み、腕が上がらない 肘をついて転んだ際に発生しやすい

注意していただきたいのは、高齢者は痛みの感覚が鈍くなっていることがあり、骨折していても強い痛みを訴えないケースがあるという点です。「痛くない」と言っていても、動きに不自然さがあれば受診を検討してください。

また、初回のレントゲン検査で骨折が見つからないこともあります。骨折によるズレが小さい場合はレントゲンに映らないことがあるため、痛みが続く場合は再度整形外科を受診し、CT検査やMRI検査を受けることが推奨されています。

ポイント④:自力で立ち上がれるかどうか

転倒後に自力で立ち上がれるかどうかは、ケガの重さを判断するうえで重要な目安です。自力で起き上がれない場合は、大腿骨の骨折が最も多い原因とされています。

起き上がれないときは無理に動かさないでください。骨折している場合、無理に体を動かすと骨がずれて症状が悪化する恐れがあります。その場で楽な姿勢を取らせ、毛布やクッションなどで身体を保温しながら、救急車の到着を待ちましょう。

逆に、自力で立ち上がれた場合でも油断は禁物です。骨粗しょう症で骨がもろくなっている方は、歩けていても骨にひびが入っている可能性があります。痛みが少しでもある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

ポイント⑤:抗凝固薬を服用しているかどうか

転倒後の受診判断で見落とされがちなのが、ご本人が普段どのような薬を服用しているかという点です。特に、ワーファリンやアスピリンなど血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を服用している場合は要注意です。

これらの薬を飲んでいる方は、出血した際に血が止まりにくいため、頭蓋内出血のリスクが大幅に高まります。軽い転倒であっても、頭を打った可能性がある場合は必ず受診して、頭部CT検査を受けるようにしましょう。

服用中の薬がわからない場合は、「お薬手帳」を確認してください。お薬手帳は救急搬送の際にも重要な情報源となりますので、すぐに取り出せる場所に保管しておくことをおすすめします。

高齢者の転倒は、直後は「大したことない」と思えても、時間が経ってから重大な症状が現れることがあります。迷ったときは「受診する」方向で判断していただくのが安全です。

3.高齢者の転倒で受診すべき診療科の選び方

高齢者が転倒して病院を受診しようと思ったとき、「何科に行けばいいのだろう」と迷うことも多いでしょう。転倒後に受診すべき診療科は、ケガの状態や打った部位によって異なります。ここでは、症状別に適切な診療科の選び方を解説します。

頭を打った場合は脳神経外科

転倒時に頭部を打撲した場合は、脳神経外科を受診しましょう。脳神経外科では頭部CT検査を実施して、脳内出血や頭蓋骨骨折の有無を確認できます。

頭部外傷の際は、MRI検査よりもCT検査のほうが迅速に診断でき、出血や骨折の検出に優れています。頭を打った後に意識がいつもと違う場合は、CT検査が可能な病院を選ぶことが重要です。

なお、転倒直後にCT検査で異常がなくても安心はできません。頭を打ってから1ヶ月後に再検査を受けることが推奨されているケースもあります。特に高齢者は慢性硬膜下血腫のリスクがあるため、医師の指示に従って経過観察を続けてください。

手足・腰の痛みがある場合は整形外科

転倒後に手足や腰、背中に痛みがある場合は、整形外科を受診してください。レントゲンやCT検査、必要に応じてMRI検査を行い、骨折の有無や程度を正確に診断します。

特に高齢者に多い大腿骨頸部骨折は、早期に手術を行って歩行訓練を開始することが、寝たきりを防ぐうえで極めて重要です。痛みがあるのに「そのうち治る」と放置してしまうと、変形や運動機能の低下、慢性的な痛みが残ることがあります。

判断に迷ったら救急科・総合診療科

頭も打ったし手足も痛い、あるいはどこを打ったかよくわからないというケースもあります。そのような場合は、救急科総合診療科のある病院を受診するのがよいでしょう。全身を総合的に診察し、必要に応じて各専門科に紹介してもらえます。

なお、日中であればかかりつけ医に電話で相談することも有効な選択肢です。かかりつけ医はご本人の病歴や服用中の薬を把握しているため、的確なアドバイスを受けられる可能性が高いです。

症状・状況 受診すべき診療科 主な検査
頭を打った・頭痛がある 脳神経外科 頭部CT検査
手足・腰・背中が痛い 整形外科 レントゲン・CT・MRI
頻繁に転倒を繰り返す 脳神経内科(神経内科) MRI・神経学的検査
どこを打ったかわからない・複数の部位が痛い 救急科・総合診療科 全身の総合的な検査

4.高齢者が転倒したときにすぐ救急車を呼ぶべきケース

高齢者の転倒では、一刻を争う緊急事態と、様子を見てから受診すれば良いケースがあります。ここでは、迷わず119番に電話して救急車を呼ぶべき状況について説明します。ためらわず行動することが、ご家族の命を守ることにつながります。

すぐに119番通報すべき症状

高齢者が転倒した際に、以下のような症状がみられる場合は、ためらわず119番に電話してください。命に関わる可能性がある緊急性の高いサインです。

  • 意識がない、または呼びかけに反応しない
  • 意識はあるが、ろれつが回らない、言葉が出てこない
  • 嘔吐を繰り返す
  • けいれんを起こしている
  • 大量に出血している
  • 明らかに手足が変形している
  • 激しい痛みで動けない
  • 呼吸が苦しそう

救急車を待っている間は、ご本人を無理に動かさず、その場で安静を保たせてください。出血がある場合は清潔な布で傷口を押さえ、寒さを感じないよう毛布などで保温しましょう。

判断に迷ったときは「#7119」に相談

「救急車を呼ぶほどではないかもしれないが、心配だ」という場合は、救急安心センター事業「#7119」に電話しましょう。医師や看護師などの専門スタッフが24時間体制で電話相談に対応してくれます。

救急車を呼ぶべきか、今すぐ病院に行くべきか、自宅で様子を見てもよいかを的確にアドバイスしてもらえます。緊急性が高いと判断された場合は、そのまま119番に転送してもらうことも可能です。

📞 #7119(救急安心センター事業)について

プッシュ回線・携帯電話から「#7119」でつながります(24時間・365日受付)。一部未実施の地域がありますので、お住まいの自治体でご確認ください。東京都の場合はダイヤル回線から23区は03-3212-2323、多摩地区は042-521-2323でも相談可能です。

また、総務省消防庁が提供する「Q助(きゅーすけ)」というアプリでも、症状を選択していくことで緊急度を判定できます。スマートフォンに入れておくと、いざというときに役立つでしょう。

5.高齢者が転倒した直後の正しい対処法

高齢者が転倒した瞬間は、ご家族も動揺してしまいがちです。しかし、転倒直後の対処が適切かどうかが、その後の回復に大きく影響します。ここでは、転倒直後にご家族がとるべき正しい対応手順をお伝えします。

まず声をかけて意識を確認する

転倒したご本人の近くに行き、「大丈夫ですか?」「聞こえますか?」と優しく声をかけてください。意識があるかどうかの確認が、最も優先すべき対応です。

ご本人もショックを受けているはずですので、「大丈夫だよ」「ここにいるよ」と安心させる声かけを行いながら、落ち着いて状況を把握しましょう。

慌てて起こさない・動かさない

転倒直後は、絶対に慌ててご本人を起こそうとしないでください。骨折や頭部外傷を起こしている場合、無理に身体を動かすことで症状が悪化する恐れがあります。

転倒したままの姿勢で安静にしてもらい、どこに痛みがあるか、頭を打ったかどうかをゆっくりと一つずつ確認していきましょう。矢継ぎ早に質問するのではなく、ご本人が落ち着いてから聞くことが大切です。

骨折が疑われるときのRICE処置

打撲や捻挫、骨折が疑われるときの応急処置として、「RICE処置」を覚えておくと役立ちます。

処置 英語 内容
R Rest(安静) 患部を動かさないようにする
I Ice(冷却) 氷のうやタオルで冷やし、腫れを抑える
C Compression(圧迫) 伸縮性の包帯で患部を軽く圧迫する
E Elevation(挙上) 患部を心臓より高い位置に挙げる

ただし、頭を打っている場合や明らかに骨が変形している場合は、RICE処置よりもまず安静を優先し、すぐに救急車を呼びましょう。

転倒直後は痛みを感じないこともあります。「大丈夫そうだ」と思っても、しばらくその場に寄り添い、落ち着いてから痛みのある場所や転んだ状況を一つずつ確認してください。

6.高齢者の転倒後に数日間注意して観察すべき症状

高齢者の転倒では、直後に症状がなくても安心できないことがあります。高齢者は脳の萎縮や痛みの感覚の低下などにより、症状の出現が遅れるケースがあるためです。受診後であっても、少なくとも48時間は注意深くご本人の様子を観察することが重要です。

見逃してはいけない「遅れてくる症状」

転倒後、数時間から数日の間に以下のような変化が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 頭痛が悪化してきた、または新たに頭痛が出てきた
  • 吐き気や嘔吐が現れた
  • 手足にしびれや力の入りにくさが出てきた
  • ろれつが回らなくなった
  • 急に眠りがちになった
  • 歩き方がおかしくなった
  • 痛みが日を追うごとに強くなっている

これらの症状は、脳内出血が徐々に進行しているサインや、見逃されていた骨折が悪化しているサインである可能性があります。「時間が経ったから大丈夫」と思わず、少しでも異変を感じたら医療機関に相談してください。

慢性硬膜下血腫への長期的な注意

慢性硬膜下血腫は、頭を打ってから1〜3ヶ月後に症状が現れることがあります。頭痛、物忘れの悪化、片側の手足の麻痺、歩行の不安定さなどが主な症状です。

慢性硬膜下血腫は、発見さえされれば比較的簡単な手術で治ることが多い良好な予後の疾患です。しかし、症状が認知症と似ているために発見が遅れてしまうケースがあります。転倒後に認知症のような症状が急に進んだ場合は、脳神経外科を受診してCT検査を受けることをおすすめします。

7.救急車を呼ぶほどでないときの通院手段

救急車を呼ぶほどの緊急性はないものの、ご本人が自力で歩けない、自家用車での移動が難しいといった場合、どうやって病院に連れていけばよいか悩むことがあります。そのような場面で活用できる搬送サービスをご紹介します。

介護タクシー・民間救急の活用

救急車を呼ぶまでではないけれど、通常のタクシーでは対応が難しい場合には、介護タクシー民間救急の利用が適しています。

介護タクシーは車椅子やストレッチャーに対応した車両を備えており、ケアドライバーがご本人の乗降や移動をサポートしてくれます。病院への通院や転院の際に頼りになる存在です。

さらに、医療依存度が高い状態での搬送が必要な場合は、民間救急という選択肢もあります。民間救急は消防庁の認定を受けた事業者が運営しており、人工呼吸器や生体情報モニタなどの医療機器を搭載した車両で、安全な搬送を行います。

東京メディ・ケア移送サービスの民間救急車両
民間救急車両の車内
医療機器の完備 ・人工呼吸器対応
・生体情報モニタの設置
・輸液・シリンジポンプの装備
専門スタッフの配置 ・患者等搬送乗務員適任証保持者の配置
・介護職員初任者研修修了者の同乗
・医療機器に精通したケアドライバーの対応
安全管理体制 ・医師・看護師との緊密な連携体制
・24時間対応の緊急体制
・個々の患者様の状態に応じた移送計画の立案
東京メディ・ケア移送サービスは、東京消防庁認定の患者等搬送事業者として、介護タクシーと民間救急の両方のサービスを提供しています。医療搬送に精通したケアドライバーが、医師や看護師と連携して安全な搬送を行いますので、転倒後の通院でお困りの際はお気軽にご相談ください。

東京民間救急コールセンター

東京都にお住まいの方は、東京民間救急コールセンター(電話:0570-039-099)に相談することで、症状に応じた搬送サービスを案内してもらえます。退院・通院・転院の際にも活用できるサービスです。

8.高齢者の転倒に関するよくある質問

高齢者が転倒した際に寄せられることが多い質問にお答えします。

Q1: 転倒後に痛みはないが、病院に行くべきですか?

A: はい、念のため受診をおすすめします。

高齢者の場合、痛みを感じにくくなっていることがあるため、痛みがなくても骨折している可能性があります。特に頭を打った場合は、自覚症状がなくても脳内で出血が起きている恐れがありますので、受診するようにしてください。抗凝固薬を服用中の方は必ず受診しましょう。

Q2: 転倒して自分で起き上がれたので大丈夫ですか?

A: 起き上がれても油断は禁物です。

自力で起き上がれたからといって、骨折や内出血がないとは限りません。骨のズレが小さい骨折や、背骨の圧迫骨折などは、転倒直後は歩けることもあります。痛みが少しでもある場合、または数日経って痛みが出てきた場合は、医療機関を受診してください。

Q3: 転倒したのが夜間ですが、朝まで待っても大丈夫ですか?

A: 状況次第ですが、異変があれば夜間でも相談してください。

頭を打っておらず、意識も正常で、自力で動ける状態であれば、翌朝の受診でも問題ないケースが多いです。ただし、夜間でも意識障害や嘔吐、激しい痛みなどがある場合は、朝を待たず119番に電話するか、#7119に相談してください。

Q4: 救急車を呼んでもいいのか迷ってしまいます

A: 迷ったときは、まず#7119に電話してみてください。

緊急性の判断に迷ったときは、#7119に電話すれば専門家が適切にアドバイスしてくれます。また、消防庁のアプリ「Q助」でも症状に応じた緊急度判定が可能です。「もしかしたら大事かもしれない」と少しでも不安を感じたら、遠慮せず相談することが大切です。

Q5: 病院に連れていきたいが、動かせないときはどうすれば?

A: 介護タクシーや民間救急の利用がおすすめです。

救急車を呼ぶほどではないが自力での移動が難しい場合は、介護タクシー民間救急を利用しましょう。車椅子やストレッチャー対応の車両で、安全に医療機関へ搬送してもらえます。東京都では東京民間救急コールセンター(0570-039-099)で相談が可能です。

9.まとめ|高齢者の転倒は「様子見」せず早めの受診を

高齢者の転倒は、見た目の軽さに反して、骨折や頭蓋内出血など深刻なケガにつながるリスクがあります。この記事でお伝えした5つの判断ポイントを、もう一度振り返りましょう。

  • 意識の状態を確認する
  • 頭を打ったかどうかを確認する
  • 痛みの部位と強さを確認する
  • 自力で立ち上がれるかを確認する
  • 抗凝固薬を服用しているかを確認する

高齢者は痛みの感覚が鈍くなっていたり、脳内の出血が時間差で進行したりすることがあるため、「このくらい大丈夫」と自己判断せず、迷ったら医療機関を受診することが最も安全な対応です。

受診の際には、頭を打った場合は脳神経外科、手足や腰の痛みがある場合は整形外科を選びましょう。判断に迷ったときは#7119に電話して専門家のアドバイスを受けてください。

また、救急車を呼ぶほどではないが移動が難しい場合は、介護タクシーや民間救急を活用することも一つの方法です。東京メディ・ケア移送サービスでは、転倒後の通院が困難な方の搬送サポートを承っております。お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

監修者
長井靖

東京メディ・ケア移送サービス代表 長井 靖

群馬県前橋市出身、臨床検査技師。
医療機器メーカーにて30年人工呼吸器の販売・保守を担当後、呼吸器搬送など医療搬送分野に特化した東京メディ・ケア移送サービスを設立。
日常のケガや病気、介護での通院のほか、輸液ポンプ、シリンジポンプなどの医療機器を導入した高度医療搬送も展開。搬送用高度医療機器の販売・レンタル、研修・セミナーも行う。

監修者・事業者について