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病院から病院への移動手段と移送費について|救急車は使える?

 
病院から病院への移動手段と移送費

病院から病院への移動について、「どの移動手段を選べばいいのか」「費用はどのくらいかかるのか」「救急車は使えるのか」など、さまざまな不安や疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、転院が必要となるケースから、患者さんの容態に応じた適切な移動手段の選び方、医療保険制度における移送費の支給条件まで、実用的な情報をご紹介します。

医療機器をご使用中の方に対応可能な民間救急車から、介護タクシー、一般のタクシーまで、状況に応じた最適な移動方法を解説していきます。

どんなときに転院が必要になるのか

病院から病院への移動、いわゆる転院は、患者さんにより適切な医療を提供するために行われます。自分や家族が転院を提案された際、その必要性や移動手段に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

急性期治療後のリハビリ転院

多くの転院は、急性期病院での治療が終わり、症状が安定してきた段階で行われます。例えば、脳卒中や骨折の手術後、早期のリハビリ開始が重要な場合、リハビリテーション病院への転院が検討されます。これは単なる転院ではなく、より専門的なリハビリ治療を受けるための重要なステップとなります。

リハビリ病院では、理学療法士や作業療法士など、専門スタッフによる集中的なリハビリテーションを受けることができます。また、リハビリ専用の設備や機器が整っているため、より効果的な機能回復が期待できます。さらに、このような転院は、急性期病院のベッドを、緊急性の高い治療を必要とする他の患者さんに提供することにもつながります。

専門的な治療が必要な場合の転院

症状の進行や新たな診断により、より高度な医療設備や専門医による治療が必要になった場合も転院の対象となります。例えば、がんの専門治療や特殊な手術が必要になった際は、その分野に特化した専門病院への転院を検討します。医療技術の進歩により、様々な専門治療が可能になっている今日では、より適切な治療を受けるための戦略的な転院も増えています。

また、人工呼吸器などの高度な医療機器による管理が必要になった場合も、それらの機器が整備された医療機関への転院が検討されます。東京メディ・ケア移送サービスでは、人工呼吸器や生体情報モニタなどの医療機器を完備した民間救急車で、このような医療依存度の高い患者さんの転院搬送も安全に行っています。

自宅近くの病院への転院

救急搬送時には症状の緊急性から遠方の病院に運ばれることもありますが、症状が安定してきた段階で、自宅近くの病院への転院を考えることも多くあります。自宅近くの病院であれば、ご家族の面会が容易になり、患者さんの精神的なサポートも充実します。また、退院後の通院治療を考えた際にも、自宅からのアクセスが良い病院への転院は、長期的な治療計画において重要な選択となります。

特に高齢の患者さんの場合、住み慣れた地域での療養は回復にプラスの影響を与えることも多く、地域の医療機関との連携を視野に入れた転院を検討することをお勧めします。このような転院の際も、患者さんの状態に応じて適切な移動手段を選択することが重要です。

転院時の移動手段とそれぞれの特徴

転院時の移動手段には、民間救急車、介護タクシー、一般のタクシー、自家用車など、複数の選択肢があります。それぞれに特徴や適した状況が異なりますので、患者さんの状態に合わせて最適な移動手段を選びましょう。

自家用車やタクシーでの移動

医療処置が不要で、座位が保てる場合は、自家用車やタクシーでの移動も可能です。ただし、長時間の移動や体調変化のリスクがある場合は、より安全な移動手段を検討する必要があります。

自家用車やタクシーでの移動は費用面で経済的ですが、介助者の確保や、急変時の対応が難しいという課題があります。特に高齢の方や体力に不安のある方は、専門的なサポートのある移動手段を選ぶことをお勧めします。

民間救急車での移動

東京メディ・ケア移送サービスの民間救急車両

医療依存度が高い患者さんの移動には、民間救急車が最適です。東京メディ・ケア移送サービスの民間救急車は、人工呼吸器、医療用酸素、生体情報モニタ、輸液ポンプなど、充実した医療機器を搭載しています。

民間救急車のメリット

民間救急車の最大の特徴は、医療処置を継続しながらの移動が可能な点です。当社の民間救急車には、2名以上の専門スタッフが同乗し、乗務員全員が患者等搬送乗務員適任証を持つ有資格者が担当します。

また、必要に応じて医師や看護師の同乗にも対応可能です。搬送中の容態変化にも適切に対応できる体制を整えており、長距離の移動でも安心して利用いただけます。

家族の同乗について

民間救急車には、1~2名の付き添い家族が同乗可能です。ただし、医療機器の使用状況や移動距離によって同乗人数が制限される場合もあります。事前に相談することで、適切な対応を検討させていただきます。

介護タクシーでの移動

介護タクシー車両

車椅子での移動が可能で、医療処置が不要な場合は、介護タクシーが便利です。当社の介護タクシーは、車椅子のまま乗車可能な福祉車両を採用し、ホイールチェアリフトやスロープを完備しています。

介護職員初任者研修以上の資格を持つドライバーが、ご自宅から車両、病院内までの移動をサポートします。定期的な通院や比較的短距離の転院に適しています。

その他の移動手段(バス・新幹線・飛行機など)

長距離の転院では、新幹線や飛行機の利用も検討できます。ただし、医療機器の使用や、乗り換え時の介助など、細かな配慮が必要です。当社では、交通機関の乗り継ぎにも対応しており、目的地までの一貫した搬送サービスを提供しています。

バスでの移動は、車椅子対応の福祉バスなど、特別な設備のある車両を利用する必要があります。交通機関の選択は、移動距離や患者さんの状態、医療機器の使用有無などを総合的に判断して決定します。

病院から病院への移動にかかる費用(移送費)について

病院間の移動では、民間救急車や介護タクシーの利用料金の他に、健康保険制度における「移送費」の支給制度を活用できる場合があります。適切な申請により、移動費用の負担を軽減できる可能性があります。

移送費の支給条件

移送費が支給されるのは、以下の3つの条件をすべて満たす場合です。

  • 移送の目的である療養が、保険診療として適切であること
  • 移送の原因である疾病または負傷により、移動することが著しく困難であること
  • 緊急かつやむを得ない場合であること

移送費として認められる事例

具体的に移送費が認められるケースについて説明します。

  • 移動が困難な患者が、医師の指示で緊急に転院した場合
  • 災害現場から医療機関に緊急搬送された場合
  • 離島で発症し、近隣に適切な医療機関がないため、本土の医療機関へ搬送された場合

移送費として認められないケース

以下のような場合は、移送費の支給対象外となります。

  • 近くに適切な病院があるにもかかわらず、遠方の病院を選択した場合
  • 緊急入院後、症状が安定してからのリハビリ目的の転院
  • 退院時の移送
  • 自宅からの定期的な通院
  • 患者本人の希望による転院

移送費の支給額と申請方法

支給される金額について

移送費は、最も経済的な経路・方法で移送された場合の費用として算定されます。医師や看護師の付き添いが必要な場合は、1名分の交通費も支給対象となります。ただし、実際にかかった費用が算定額を下回る場合は、実費が支給の上限となります。

必要な申請書類

移送費の申請には以下の書類が必要です。

  • 移送費支給申請書
  • 移送にかかった費用の領収書(原本)
  • 移送の経路を確認できる書類
  • 医師の意見書(必要な場合)

病院の転院時に救急車は使える?費用は?

転院時の救急車利用については、厳格な基準があります。救急車の本来の目的は緊急性の高い患者の搬送であり、転院時の利用には適正な判断が求められます。

転院搬送での救急車利用の要件

救急車による転院搬送は、以下の要件をすべて満たす場合に限り認められます。

  • 緊急に処置が必要な状態であること
  • 現在の医療機関での治療が困難であること
  • 他の搬送手段が活用できないと判断されること
  • 転院先の医療機関が確保されていること

救急車を利用した際の費用については原則発生しません。ただし、医師が同乗する場合や、緊急性がないのに特定の病院で診療を受けた場合は「特別の料金」として別途請求される可能性があります。

救急車の適正利用が求められる理由

近年、救急車の出動件数は年々増加しており、真に緊急性の高い患者への対応が遅れる可能性が懸念されています。そのため、緊急性の低い転院搬送には、民間救急車や介護タクシーなど、適切な代替手段の利用が推奨されています。

当社では、人工呼吸器や医療機器を必要とする患者様の転院搬送に特化したサービスを提供しており、救急車に代わる安全な搬送手段として、多くの医療機関にご利用いただいております。

救急車以外の移動手段を選ぶべき場合

以下のような場合は、救急車以外の移動手段を検討すべきです。

  • 症状が安定しており、緊急性が低い場合
  • リハビリ目的の転院
  • 計画的な転院の場合
  • 自宅近くの病院への転院

特に医療機器の使用が必要な場合は、当社のような専門の民間救急サービスの利用をお勧めします。医療機器に精通したスタッフが、安全な搬送を実現いたします。

まとめ:安全で適切な移動手段の選び方

病院から病院への移動では、患者さんの容態や移動距離に応じて適切な移動手段を選ぶことが重要です。

状態 推奨される移動手段
医療機器使用 民間救急車(医療機器完備、専門スタッフ同乗)
車椅子利用 介護タクシー(福祉車両での安全な移動)
容態安定 一般タクシーまたは自家用車

特に医療依存度の高い患者さんの転院では、安全性を第一に考えた移動手段の選択が重要です。東京メディ・ケア移送サービスでは、人工呼吸器や医療機器の取り扱いに熟練したスタッフが、安全な搬送をサポートいたします。